mr.novemberのブログ

暇と退屈、そして音楽の楽しみ方。

【年間ベスト】2013年” 極私的”年間ベスト・アルバム _ 1位

ようやく1位の発表です

1. Vampire Weekend 『Modern Vampires of the City』 (XL Recording)

Modern Vampires of the City

2013年において真に「知的であること」とはどういうことか。図らずともそれを示した作品。残されたフロンティアはどんどん少なくなり、資本主義の臨界点が現実的になってきた世界。その最大の牽引者たるアメリカのインサイダーとして、気付き、苦悩しながら自分なりに見い出した景色を素直に表したバンドにとっての最高傑作であり、充実作が多かった2013年においても最高傑作だったと言ってしまおう。
「年齢を重ねること、成長すること、時間(ageing,growing,time)」、「アメリカ」、「宗教、信じる気持ち」という3つの要素が絡み合っているとボーカルのエズラはこの作品を評した。素晴らしいのは苦悩の末辿り着いた場所が、オーガナイズされた形での信仰や、シニシズム、観念的な諦念や絶望ではなく、現在進行形としての「受け入れること」である点だ。"Worship You"では信仰の対象としての「アメリカ」への疑念を、ユダヤ教の神=ヤハウェ(Yahweh)をもじった"Ya Hey"では「"私は在りて在るものである"と、ただそれだけ/でも、そんな方法で誰が生きられるっていうんでしょう?」、「母なる国はあなたを愛していない/父なる国はあなたを愛していない/なのに、何故全てを愛するのですか?」と「愛すること」の本質への疑問を呈している。
重苦しく重ねられる言葉からは、5年前にシーンに登場してきた時のハツラツとした表情は見えてこない。ただそこからは「伝えるために率直に内面を語るアプローチにした」という真摯な姿勢は透けて見えてくる。サウンドにおいても変化は大きい。かつての胸躍るアフロ・リズムは後退し、ぐっとダウンテンポに、エズラのボーカルは全編を通して抑えたトーンとなり、チャキチャキしたギターやシンセは教会音楽を思わせる荘厳なオルガンやチェンバロに取って代わった。
"Obvious Bicycle"では「気付き」の必要性を説き、"Step"では「大人になること、成熟、そして老い」を、"Hudson"では「アメリカ人として生まれ、そして死ぬこと」に思いを馳せなら、彼等は宗教や国家を超えた意味での「信じること」そのものの意味について自分たちなりに答えを探し出すプロセスを見せてくれる。そこには終着点ではなく、出発点としての無力感や諦念、そして絶望がある。だがしかし、最終曲"Young Lion"はこんな言葉で締め括られる。「焦ることはない、若き獅子たちよ」。全ての苦悩と絶望、これから待ち受ける困難すらも包み込むこの言葉はかつてエズラ自身が見知らぬ老人に掛けられた言葉だという。そしてこれは同時にあなたにも向けられた言葉であるのだ。わずか29歳の青年たちが作り上げたこの傑作を聴いて、前へ進め。

<おすすめトラック:M3."Step"、M7."Everlasting Arm", M10."Ya Hey", M12."Young Lion">

 

という訳でようやく”極私的”年間ベスト10の発表が終わりました。
無駄に時間が掛かってしまいましたが、1位に選んだVWの作品を紹介するために他の9枚も一応選んだと言っても過言でないほどの素晴らしい作品だし、その意味するところが頭の中で繋がった瞬間、思わず涙が溢れ出てしまうような示唆に富んだ力強い作品です。
是非是非是非、手に取ってみて下さい。

さて、後はおまけで「2013年”極私的”期待はずれだった3枚&2014年期待の3枚」
でも紹介しようかなと思っておりますので引き続きお付き合い頂ければと。

では。

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