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mr.novemberのブログ

暇と退屈、そして音楽の楽しみ方。

【年間ベスト】2014年「 極私的」年間ベスト・アルバム _ 『EDM以後のビッグになるべきと信じて疑わないダンス・ミュージック』編

”EDM”ではなく、でもど真ん中にストレートを投げ込むこと

市場のメカニズムとはひとつ”勝ちパターン”を見つけると、雨後の筍のようにその模範をコピー&ペースト。市場は一気に巨大化し、プレイヤーを増やしながらそのマーケットを自己強化し、マーケットの勝者が一山儲けるもの。 インターネットによる様々な障壁がなくなったことはそうした動きの速度をべらぼうに速めた。そしてそのサイクルは日に日に足を速めている。

EDMという呼称を与えらえたダンス・ミュージックはフェス・カルチャーと二人三脚でこの数年、モンスター級に巨大化し、紋切り型のトラックを大量生産し、リスナーの脳ミソはすっかりヤラれてしまった。 デイヴィッド・ゲッタのような一山当て終わったアクトは流行の終わりと共に忘れさられないようせっせと次の儲け先の探索に出掛けており逞しい限りだ(笑)。

こうした動きに対してアメリカでここ数年顕在化したソウル/ファンク回帰的なダンス・ミュージックの動きはEDMに対するオルタナティヴとして機能していたという側面も大きいだろう。 しかしそれと同時に巨大化しすぎたEDMビジネスに違和感は感じてはいても、「エレクトロニックなダンス・ミュージック」自体への愛は変わることのないアクトも当然存在する。 特にエレクトロニカからヒップホップ、そしてビッグなポップ・ミュージックまで古今東西、時代分け隔てなく、そして屈託無く音楽の歴史を取り込みながら最終的には”エレクトロニックで、ビッグな、とにかく大量のクラウドをブチ上げる”トラックを臆することなく放り込んでくる実力十分の若いアクトもチラホラ現れ始めた。ここで紹介する2組がその本命。ハンパじゃないです。

 

『EDM以後のビッグになるべきと信じて疑わないダンス・ミュージック』3枚

・Odezsa『In Return』(Beat Records)  

In Return [帯解説・ボーナストラック1曲収録 / 国内盤] (BRC432)

全曲キラー・トラックな強力なフックがあるメロディ。 BPM110前後のアゲ過ぎでもユル過ぎでもない程良い塩梅のビートの卓越した楽曲センスは既に完成の域にあり、まるで最盛期のモービーとボノボ、フォー・テットがブレンドしたような無敵ぶり。またマデリン・グラントやジラといった時流を巧く捉えたゲスト・ボーカルのチョイスも最高。胸クソ悪いPVが鮮烈な“Say My Name”は名刺代わりの1曲だ。 何度もオファーを断られながらも実現させたシャイ・ガールズとのコラボ曲“All We Need”もすこぶる素晴らしい。

彼らの一番の強みは“思いっ切りポップに振り切っている”ところ。ファンベースの大きさに左右されない思い切りの良さは、一夜で多くの人にリーチする可能性が自明になった「インターネット以降の世代」の特徴か。 エレクトロニック・ミュージックに対し過度なストイックさや逆にEDM的な大仰なイメージがあって敬遠しているリスナーこそオデッザを聴け。それくらいそのポップ・ミュージックとしての説得力は高い。そして彼らの音楽が狙える射程距離は熱心なエレクトロニック・ミュージック・リスナーの枠よりずっとずっと遠くにある。もうEDMは脇に置いて、オデッザを聴け。

<おすすめトラック>
M2. 「Say My Name」==>

M4. 「All We Need」==>

 

 

・Flume『LOCKJAW EP*1』(Future Classic) 

Drop the Game

先日のChet Fakerの単独来日公演はフジでの不調(といってもPA要因だが)とは打って変わって本当に素晴らしいパファーマンスだった。日本人の方が少ないくらいのオーディエンス比率だったこともあり、彼が本国オーストラリアに留まらず欧米圏で相当な熱量の人気を誇っているということが判るライブでもあった。

そのChetがフィーチャーされたきっかけでもあるLeft Aloneというトラックの作者でもあり、Chetが所属する今一番イケてるレーベルFuture ClassicのChetと並ぶ2枚看板の一角が、このFlume(フルーム:若干22歳、超イケメン)だ。

Flumeの魅力は本当にリベラルにヒップホップからアヴァンギャルドなエレクトリック・ミュージックのエッセンスを取り込みながら、EDM顔負けのビッグなポップ・トラックを作り上げているところ。初期Prefuse73を思わせるボーカル・チョップにしても、Chetを始めとしたボーカリストのフィーチャーにしても、とにかくメロが極上にキャッチーだ。「MobyやM83等のエモーショナルでメランコリックなテイストを取り込みたい」とは本人の談だが、正に臆することなくそのインスピレーションを具現化している。 

そしてそのスケール感はYouTubeでいくらでも観ることができる彼のライブ映像を観れば、どれだけ彼のトラックが大バコに耐えうる仕様かがよく判るはず。2014年にリリースは無かったが、EDMは箸休めにしてChetも本格的にブレイクを果たしたこのタイミングにこそ彼の音楽に耳を傾けてみるべき。

<おすすめトラック>

「Sleepless」==>

「Drop the Game feat. Chet Faker」==> 

「Possum」==>  


 

*1:リリースは2013年。ちなみにデビューアルバムは2012年リリース。2014年はEP/フル・アルバムのリリースはない

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