【あの曲、あの歌詞】The XX _ Replica
歳を重ねるとふと自分が両親に似てきていると感じることはないだろうか?
同居しなくなって久しいにも関わらずちょっとした所作や思考パターンが似ていることにはたと気付いたり、他人にそれを指摘されたりする。そんな経験をしたことがある人はきっと多いはずだ。
それが喜ばしいことか忌むべきことかは人によりけりだが、人はそうした瞬間に抗えない業のようなものを感じたりするものだ。
この曲でオリバー・シムはそうした葛藤について歌っている。アルコール依存とも闘っていたという彼はバンドの成功により大きくなるプレッシャーと不安、そしておそらく父親が犯した過ちと自分の繋がりに思いを馳せている。そして彼は周囲の声に救いを得る。
「君の過ちは単なる”遺伝”に過ぎないんだ。」
全てを自己責任に帰結させる言説が覆う世の中において、一見無責任にも聞こえるこの言葉に救われる人は思いの外、多いのかもしれない。