年間ベスト
本作をピカソの「ゲルニカ」に例える声がある。人間の蛮行と悪を描いた黙示録であるかの作品と同様、『トゥ・ピンプ・ア・バタフライ』は告発的な作品だ。それはアフリカン・アメリカンたちがホワイト・ハウスの目の前で裁判官を踏みつけ、酒ビンと札束を握…
産業化が過ぎた快楽=EDMからの離脱 とにかく強引にフィジカルに訴えかけてこうようとするEDMには流石に世界中が食傷気味になったのか、僕が触れた2015年のダンス・ミュージックは、EDMに明確に引導を渡すような革新や派手さを持ち合わせた何かは無かった代…
元の居場所へと還っていく「インディー」 この10年のアメリカの音楽産業は「インディー」という鉱脈を掘り返すことで飯を食ってきたと言ってもよいだろう。ただグランジ・ブームの時の反省からか、食い尽くされ、焼き畑化される前にここ数年をかけて「イン…
最もハイブリッドで適応性のあるフォーマットとしてのR&B 音楽のフォーマットとしてのR&Bの援用はまだまだ続いたのが2015年でした。ダンス/ベース・ミュージックとの合流を踏まえ多くの新しいR&Bが登場したイギリスだけでなく、アメリカでもいわゆるメイン…
埋もれた日常を掘り起こす想像力 ここで紹介する二組は「グローバル・ポップ」で紹介した面々や、アデルのような最先端のプロダクションの凄みはありません。そしてラブ・ソング、とりわけ失恋という形式というユニバーサル・ランゲージを分かりやすく採用し…
"Winner takes all"のグローバル・ポップ市場 インターネットが音楽産業に起こした構造的変化のひとつに「勝つものが益々勝つ」という現象がある(#その一方多様な音楽が可視化はされるようにもなっているのも事実)。そう、Winner Takes All。事実、レコー…
遅ればせながらの2015年ベスト・アルバム さて毎年恒例遅ればせながらの年間ベストです。 まずいきなりですが、最初に断りを入れておくとこのリストは僕の個人的なテイストの順ではありません。 では何なのか?と言うと、ポップ・ミュージックと接するうえで…
とにかくこの2枚が全てだった2014年 ちんたらと足掛け丸2ヶ月も掛けてしまいましたが・・・「僕から見た2014年の景色」を定義する7つのパースペクティブのラスト『本当の私的ベスト・アルバム』編をようやく迎えました。2013年はVampire Weekendがぶっち…
他者に分かりやすく語りかける音楽としてのポップ・ミュージック 僕はポップ・ミュージックの大きな役割の一つは「皆が思ってはいるけれどなんだかモヤっとしていることを"すっと"腹落ちさせること」だと思っている。 そしてすぐに話が通じそうな人にだけ話…
”EDM”ではなく、でもど真ん中にストレートを投げ込むこと 市場のメカニズムとはひとつ”勝ちパターン”を見つけると、雨後の筍のようにその模範をコピー&ペースト。市場は一気に巨大化し、プレイヤーを増やしながらそのマーケットを自己強化し、マーケットの…
嘲笑の対象からの面目躍如? 過去に寄りかかった退屈で時代錯誤な嘲笑の対象となるジャンルの一つに落ちぶれてしまったロック。ある意味、堕していくロックに対するアンチテーゼとして発展してきたのが北米の地における「インディー・ロック」だと言うことも…
ジャズ、ソウル、R&B、ヒップホップの交差点 「インディーR&B」というフレーズに現れているようにこの数年の欧米のポップ・シーンにおいてデファクト・スタンダードのひとつになりつつあるオーセンティックなソウル/R&Bへの回帰に加え、個人的に感じている…
異常な豊作ぶりだったイギリス 『恐るべき新世代たち』という切り口を設けたかったのは正にHype Machineが理由。あまりにも沢山の素晴らしい名も知られていない(ググっても何の情報も出てこない)アーティスト/バンドを見つけることができたのが2014年だっ…
遅ればせながらの2014年ベスト・アルバム さてすっかり年も明けてしまいましたね。今更ではありますが今のうちに昨年の企画同様、2014年の「極私的」年間ベスト・アルバムをご紹介。 しかし昨年とはちょっと趣向を変えました。自分の何かしらの判断軸に基づ…
年末に2013年の個人年間ベストを発表しましたが、今週は予告通り「2013年期待ハズレだった3枚と2014年期待の3枚」をご紹介していこうと思います。 では「期待ハズレだった3枚」から 「期待ハズレ」については敢えてリスナー、批評家含め一般的に評価が高かっ…
2013年、ベスト・アルバム 1. Vampire Weekend 『Modern Vampires of the City』 (XL Recording) 2013年において真に「知的であること」とはどういうことか。図らずともそれを示した作品。残されたフロンティアはどんどん少なくなり、資本主義の臨界点が現実…
急がねば・・・ ちょっと1位の作品について書きたいことがあり過ぎて難産になっているのですが、年末も押し迫りもはや誰も見てくれなくなるので、先に5位から2位を紹介しちゃいます。では早速5位から! 5. Foxygen 『We Are the 21st Century Ambassadors…
ざっくり2013年を振り返る 年の瀬も迫っているので良い機会かなと一応自分なりに2013年のトレンドを振り返ることにしました。余り熟考してないですが、ざっくり思いついたのは以下の3つ。 着地点としてのR&B、ソウル、ディスコ R&Bを含む90年代リバイバル …