【年間ベスト】2014年「 極私的」年間ベスト・アルバム _ 『本当の私的ベスト・アルバム』編
とにかくこの2枚が全てだった2014年
ちんたらと足掛け丸2ヶ月も掛けてしまいましたが・・・「僕から見た2014年の景色」を定義する7つのパースペクティブのラスト『本当の私的ベスト・アルバム』編をようやく迎えました。2013年はVampire Weekendがぶっちぎりのベストでしたが、2014年は2枚をを選ぶことになった。甲乙付ける必要がない別の価値/魅力を持った2枚になります。
『本当の私的ベスト・アルバム』2枚
Sharon Van Etten『Are We There』(Jagujaguwar)
声、楽器、プロダクション、それら全てが完璧に噛み合ったときだけに起こる奇跡。それがこの『Are We There』という作品だ。紛うことなき、類して比するもののない圧倒的な傑作。シャロン・ヴァン・エッテンが持つ才能が最良の形、最良のタイミングで世に出た幸福な瞬間。2014年のベスト・レコードを他人の評で表すのはいかがなものとは思えど、自分の言葉では既に前に書いた。だからここでは<ピッチフォーク>のステファン・デスナーが記したこのレビューを紹介する。以下のテキストは何よりもこの作品の本質を物語っている。
つまり、「関係性」を定義させたり終わらせるのは重大なことが起こった瞬間ではなく、日々のルーティーン、積み重なる小さな犠牲である。他人と人生を共有することの厳しい現実だ。相手の最高な部分も最低な部分も、美しさも醜さも全て見えてしまう。この恐ろしく、素晴らしき現実に萎縮しない、そこが彼女の賞賛すべき点である。*1
<おすすめトラック>
M6. 「I Love You But I'm Lost」==>
Sharon Van Etten: I Love You But I'm Lost [1080p] (Jοοls Ηοllаnd) - YouTube
M10. 「I Know」==>
Sharon Van Etten - I Know - Later... with Jools Holland - BBC Two - YouTube
QURLI『PIER』(Victor Entertainment)
どこまでも素晴らしい音の鳴り。古くから存在した音楽を掘り起こしてきたようにも、30年後に作られる未来の音楽を聴いているようでもある。すっかり慣れ親しんだメロディーと耳慣れない旋律が少しずつ良い塩梅で織り込まれている。この音楽は現在に溶け込んだ過去であり、未来である。あらゆるものがそうであるように音楽もそれを十二分に楽しみ、慈しむには少しばかりの修練や時間を要するものだが、この音楽はその労を厭うことなく未知の何かを知りたいという欲求を喚起する。これらの楽曲が作られるのに使われた技術、また費やされた膨大な時間について思いを馳せてしまう。そして本来、無意味な音の波の集合に過ぎないはずの音楽に我々が様々な感情を喚起され、喜び悲しむことができるその素晴らしさと永遠の謎についてヒントをくれる、そんなレコードなのだ。
<おすすめトラック>
M5. 「Liberty&Gravity」==>
くるり-Liberty&Gravity / Quruli-Liberty&Gravity - YouTube
M14. 「There is」==>
くるり-There is(always light) / Quruli-There is(always light) - YouTube