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【Feature】改めて振り返る。今、最もオーセンティックな女性R&Bシンガー、ジェシー・ウエアとは?① _ 「デビューまで」編

ポストR&B時代における最もオーセンティックなシンガー、ジェシー・ウエア

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R&B」。この数年とにかくこのタームと共に多くのアーティストが紹介されてきた。だがふっとこんなことを思う人はいないだろうか?

「今、普通にオーセンティックでポジティブなヴァイヴを持ったいい感じのR&Bアクトって誰なのよ?」

 そもそもこんな疑問を持っている人がいるかは不明だが、勝手に答えることにしよう。
それはJessie Ware(ジェシー・ウエア)である。

イギリスにおいてジェイムス・ブレイクという一番星の衝撃を期に次々とシンガーが現われ始めていた2012年、アルバム『Devotion』でデビュー。その年のマーキュリー賞にもノミネートされ(受賞はAlt-Jだったが)、高い評価を得た。実際聴いて頂ければ分かるがとても素晴らしいR&B/ソウル・アルバムだ。

Devotion

Devotion

 

 
そんな彼女がデビュー作の成功、長きに渡るツアー、そして結婚という大きな人生の変節点を経て、もうすぐセカンド・アルバム『Tough Love』をリリースする。

Tough Love [Analog]

Tough Love [Analog]

 

 デビュー作は日本では余り話題にはならず、既に周回遅れの感も否めないが、決して遅すぎるということもない。そんな風に思って改めてジェシー・ウエアについて紹介するエントリを書くことにした。

多くの情報はデビュー時に僕自身が行ったジェシー・ウエア本人へのインタビューを元にしている。

デビュー前夜

イギリスのサウス・ロンドン出身のアラサー姐さん(10月15日で30歳)

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さて、ではまずは彼女の簡単なバイオグラフィーからおさらいしよう。
ジェシー・ウエアはイギリスのサウス・ロンドンのクラップハムという街の出身で現在はブリクストンに暮らしている。母親が持っていたフランク・シナトラエラ・フィッツジェラルドのテープに魅了されて歌を歌い始めたとか。

10代になるとこの世代らしくローリン・ヒルとかデステニーズ・チャイルドにハマり、それからフランク・シナトラビリー・ホリデイエラ・フィッツジェラルドのようなジャズ・シンガーに夢中に。クラブ通いも始め、ガラージとかドラムンベースで踊りまくったそう。

大学に通い始めてからは友達からいわゆる「インディー」ミュージックを仕込まれたらしく、ジェフ・バックリーからポーティスヘッド、レジーナ・スペクターまでリスナーとして音楽的な幅を広げた時期だったみたい。またこの頃はジャーナリストを目指して勉強していたらしく、音楽の道は諦めていたそうだ。

シャーデーそっくりなデビューの経緯

転機は同じ学校に通うジャック・ペニャーテのツアーへの参加

そんな彼女に転機が訪れる。同じ学校に通い友人でもあったミュージシャンのジャック・ペニャーテバックシンガーとしてツアーへ参加しないかと誘われたのだ。彼女はこの誘いを受け、シンガーとしても改めて自信を取り戻す。既に仕事を始めていたそうだが、それも辞めての参加だった。この時彼女は音楽の道で生きていくことを決意した。

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(バックシンガーとして参加した)友達のジャック・ペニャーテのツアーをブッキングした時ね。仕事を辞めなければいけなかったから。私が23歳の時だったわ。

ジャックのギタリストの紹介でSBTRKTとコラボレーション、そしてデビューへ

このツアーへの参加は結果的に彼女のアーティストへの道となった。ジャックのツアー・バンドのギタリストがジェシーを当時ポスト・ダブステップの流れで台頭してきていたトラック・メイカー=SBTRKT(サブトラクト)に引き合わせたのだ。

この時に制作されたのが「Nervous」。この曲の反響もあり、ジェシーは最終的にレコード会社PMRとの契約に漕ぎ着ける。同じくバック・ヴォーカリストとして誘われたのをきっかけに、アパレル・デザイナーの卵からあれよあれよという間に歌姫になってしまったシャーデー・アデュジェシーがもっとも敬愛し、崇拝するシンガー)とよく似ている。まぁこんな偶然もあるもんだ。

直球なソウル/R&Bマナーで貫かれた瑞々しいデビュー作『Devotion』

Devotion

その後もSampha(サンファ)ジョーカーなどUKビートミュージック/シンガーソングライター新世代を代表する面々とのコラボレーションなども経ながら、ジェシーがソウルメイトと称するプロデューサー、デイヴ・オクムフリオ・バシュモア、キッド・ハープーンといった面々のサポートを得ながらアルバムの制作を開始。

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ジェシー・ウエアとフリオ・バシュモア)

彼女が愛してやまないシャーデーホイットニー・ヒューストンをはじめとした80年代のソウルの空気を目一杯吸い込みながら、思春期に魅了されたアメリカのR&B、リアルタイムで経験したUKガラージダブステップなどのクラブカルチャーの影響を消化しながらデビュー作『Devotion』を見事作り上げる。

アルバム『Devotion』の紹介は次回に

本エントリではまずジェシー・ウエアの簡単なバイオグラフィ、そしてデビューまでの簡単な経緯を紹介させて貰いました。次回は『Devotion』について少し丁寧に紹介し、その後はセカンド・アルバム『Tough Love』までの軌跡も振り返れればと。

 

 
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