【上半期ベスト】2015年 上半期 ” 極私的”ベスト・アルバム _ 10位〜6位
もはや3Qが終わろうとしていますが・・・
昨年よりさらに遅くなってしまった上半期ベスト。というか遅すぎてもう第3Qが終わりつつあります(笑)。実は下半期のほうがすでにリスト入りするアルバムが固まってたりするんですが、まぁいいや。ケジメが大事!!
という訳でまずは「2015年極私的上半期ベスト」10位から6位までをご紹介!!
# 最悪のUIで評判を貶め続けるApple Muisicで上半期ベストのプレイリストも公開予定です。
10位から6位
10. MsMr『How does it feel?』(Columbia)
フローレンス&ザ・マシーンがグラム・ロック化した。そんな表現がピッタリなリジーとマックスのダンス・ポップ・デュオ。ふたりは元々NYにあるリベラル・アーツの超名門校であるヴァッサー大学(女優のメリル・ストリープもここの出身)で知り合い、リジーは<Neon Gold>というレーベルを立ち上げるところから音楽に関わっている。今年は<コーチェラ>に出演したりと飛躍の年となった彼らのセカンド・アルバム。評判となった「Painted」よりも「No Guilt in Pleasure」や「Wrong Victory」辺りにふたりの実力が見え隠れしている気が個人的にはする。音楽的な素養の確かさだけでなく、コンセプチャルなヴィジュアルも含め、今吹き荒れてる「ガールズ・パワー旋風」とはこれくらい毛色が違うアクトが表舞台にいる方が俄然面白い。
<おすすめトラック>
M3. "No Guilt in Pleasure"
M4. "Wrong Victory"
9. Ryn Weaver 『The Fool』(Universal)
前々から宣言していたとおり2015年、一番期待していたのがこのRyn Weaver。素晴らしい先行シングルで高まった期待感ではあったが、アルバムは・・・。そう、昨年のBanks同様、アルバムはやや焦点がボヤけてしまい期待値からすれば決して満足の出来ではなかった。「Octahate」、「The Fool」、「Promises」の輝きは本物だが、そのクオリティをアルバム全体では貫けていない。Benny Blancoをはじめとしたパワフルなバックアップ製作陣、天性のシアトリカルなパフォーマンス力、ヴァレンチノを着こなすフォトジェニックなルックスとドンドン化けていく素養は申し分ない。テイラー・スウィフトだけには止まらないガールズ旋風は遅かれ早かれこのRyn Weaverと共にカリフォルニアからも吹いてくるはずだ。
<おすすめトラック>
M2. "Octahate"
M4. "Stay Low"
M6. "The Fool"
M7. "Promises"
8. Alabama Shakes『Sound&Color』(Ato Records)
1stアルバム『ガールズ&ボーイズ』とは全く別物と言っていいのは、まずその音。空気をたっぷり含んだ空間のなかに豊かなドラム、最高の鳴りをしたギターが響いている。これだけでどう考えても今年リリースされたギター・ミュージックの中では圧倒的だし、いわゆる「インディ・ロック」という言葉で紹介される音楽には比するものはない。余談ですが、インディ・ロックってたぶん難しいですよね?いや、まぁそれは膨大な音楽の歴史に対してそれを参照する際に色んなGIven Conditionを設定せざるを得ないからであって、真面目というか誠実で知的であることの証左でもあるわけです。でも、と同時にリスナーはそのコンテクストを理解しないと楽しむのが難しいのも事実。しかし、アラバマは過去の音楽への敬意と理解、ありったけの愛を胸に、より広い射程へとその音楽を届けようとした。全米No.1がその結果なのだとしたら素敵な話。つまりマーケティングのSTPじゃねーんだと。なんかそういうデタラメなパワーが宿った温もりのあるアルバムだ。
<おすすめトラック>
M1. "Sound & Color"
M2. "Don't Wanna Fight"
7. Jordan Bratton『Youth EP』(RCA)
”9歳の頃すでにブロードウェイ『ライオン・キング』のプロダクションに参加していた。” 新たな才能に伝説はつきものである。たとえ誇張が含まれていたとしても。その才能に目をつけRCAが速攻でサイン、そして今年遂に本EPをリリースした。ジョーダンはNYのロング・アイランド出身の20 歳。あらゆる楽器を使いこなすことができる。EPは、エレクトロニックなプロダクションをベースにしたR&B。その度肝を抜く底力を確認するにはChance Ther Rapperをゲスト・ヴォーカルとして招聘し、Hype Machineチャートでも2位を獲った「Prisoner」を聴くのが手っ取り早いだろう。
<おすすめトラック>
M1. "Prisoner"
M8. "Cold Killer"
6. Jamie XX『In Colour』(Hostess)
The XXのセカンド・アルバム『Coexist』取材時に当時20歳そこそこのジェイミーをインタビューした時にはあまりのやる気のなさにぶん殴ってやろうかと思ったものだったけど、今や彼はすっかり名実ともにUK、USを問わないダンス・ミュージックにおける中心人物となってしまった。特にDisclosure以降、ハウス・ミュージックをポップ・ミュージックの中心に据えつつあるUKでは特に。
そして遂に初のソロ・アルバムとなった本作は、'10年代以降を消化した形でのハウス・ミュージックであり、そして思いっきりノスタルジーに浸った音楽でもある。そしてこのアルバムによってUKのダンス・ミュージックの歴史をなぞることでさえ可能なのだ。目新しさが足りないという批判もあるようだが、ハードコアの香りを持つ「Gosh」から「Sleep Sound」への最高の流れ、そしてジェイミーのハウスへのそしてThe XXとしてのEverything But the Girlsへの愛が溢れるアルバムのハイライト「Loud Places」を聴いたならそんな文句も吹き飛んでしまう。そこにあるのは極上のメランコリアだから。
<おすすめトラック>
M1. "Gosh"
M8. "Loud Places"(このライブ映像はMUST!!)
M9. "I Know There's Gonna Be"