mr.novemberのブログ

暇と退屈、そして音楽の楽しみ方。

【告知】ジェシー・ウェアへのインタビューがQeticに掲載されました!(昨年末ですが)

こちらも遅ればせながら告知させて頂きます

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年末年始のハネムーンを日本で過ごした( http://instagram.com/p/xRsvOJDXjE/ )UKのシンガーソングライター=Jessie Ware(ジェシー・ウェア)へ正にハネムーン出発直前に行ったインタビューが昨年末にWEBマガジンQeticに掲載されております。

2012年のデビュー時にもメール・インタビューをさせてもらいましたが、今回はようやく電話で直接話すことができました。ロンドンの自宅からだったためか終始リラックスして、新作についてや彼女のポップ・ミュージック観について語ってくれています。

新作を手に取って頂くとともにご一読頂けると幸いです!


ジェシーについては以下の3本立てエントリにて彼女のデビューから現在までを簡単に振り返ったりもしていますので、こちらも興味がありましたら是非見てみてください!

  1. 【Feature】改めて振り返る。今、最もオーセンティックな女性R&Bシンガー、ジェシー・ウエアとは?① _ 「デビューまで」編 - mr.novemberのブログ

  2.  【Feature】改めて振り返る。今、最もオーセンティックな女性R&Bシンガー、ジェシー・ウエアとは?② _ 「Devotion」編 - mr.novemberのブログ

  3.  【Feature】改めて振り返る。今、最もオーセンティックな女性R&Bシンガー、ジェシー・ウエアとは?③ _ 「Tough Love」編 - mr.novemberのブログ

 

Devotion (the Gold Edition)

Devotion (the Gold Edition)

 

 

Tough Love -Deluxe/Ltd-

Tough Love -Deluxe/Ltd-

 

 

【Feature】改めて振り返る。今、最もオーセンティックな女性R&Bシンガー、ジェシー・ウエアとは?③ _ 「Tough Love」編

『ブリット・ポップ』というタームを更新する力作『Tough Love』

やはり消耗を要した長い『Devotion』ツアー

ジェシーデビュー・アルバム『Devotion』はこれまでに少し触れたように結果として高い評価を得て、2012年の最も絶賛されたアルバムの一枚になった。 あのPitckforkも好意的だったし、最も信頼に足る音楽賞でもあるMecury Prizeにもノミネートされた。評判と共にファンベースは拡大し、世界中で熱狂的ファンがついた。つまりそれは常にツアーで世界を飛び回ることを意味する。ツアーは結果として2012年から2014年初頭まで続いた。よくある話だがジェシーもツアーでエネルギーを激しく消耗し、新しい作品の為に休息を取る必要があった。

”本当に厳しいツアー・スケジュールが続いて、エネルギーが少しも残っていなかった”公式ページ:バイオグラフィ

そして、彼女はNYで数週間の休暇を取ることにした。そしてその時にアルバムのタイトル・トラックになる「Tough Love」を書くことになった。惹かれ合うことが必ずしも幸せな恋愛に繋がるとは限らないという思いを歌った曲だ。

結婚という人生の節目と新作『Tough Love』

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(結婚式は2014年の8月にギリシアで行われた。いい顔してる!!)

実はジェシーの人生にはデビュー作『Devotion』の成功以外にも大きな変化が起きていた。結婚だ。相手は幼い頃からの幼馴染みだったサム・バロウズという人。(2人は1996年(2人共11歳の時)に地元のスイミング・チームで出会ったそう!)結婚という大きな人生の転機とセカンド・アルバムについてジェシー自身はこんな風に語っている。

”婚約もしたし、初めての経験をいっぱいした。アルバムにそういったことも書かれているけど、それでもやっぱりファースト・アルバムと同じく報われない愛をテーマにしたかった。殆どが自分の過去の経験から書かれたもので、そうするこ とによって私の中の邪悪なものが浄化されていく。その日にふと思い付いて書いた曲だと思っていても、後から考えるとある男の子やある時期のことについて書 かれていることに気付く。だから幸せな奥さんになる前にこうした過去をすべて吐き出したい気持ちがあった。”公式ページ:バイオグラフィ

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(旦那さんのサムとジェシー

ップ最前線を張る制作布陣

新作『Tough Love』デイブ・オクムなど1stと同じメンバーに加え、新しい制作布陣で臨んだ作品だ。エグゼクティヴ・プロ デューサーとしてジェシーの所属する<PMR>のレーベル仲間であるTwo Inch Punchと、ケイティ・ペリーMaroon5(「Moves Like Jagger」は彼の手による)を手掛けた売れっ子プロデューサーでもある米国人、ベニー・ブランコから成るBenZellというプロダクション・チームが迎えられた。 デビュー作と同様正に「誰と仕事をすべきか」が極めて的確なスタッフ構成だと言える。

確かな自信が漲るボーカル

『Devotion』と比べてまず耳につくのはボーカルだろう。上品なシンセを特徴に、サウンドとボーカルが等価に置かれていたデビュー作に対し、新作ではボーカルはより前景にせり出し、その声は自分に確かな自信と誇りを持ったもののそれである。ジェシーもこう語っている。

"今は自分に自信がついたし、アルバムからもそれは伝わってくると思うわ。ボーカルの届け方ももっと前面に出しているし。シンガーという仕事は最高の仕事で、それ は今では確実に私の仕事となっている。" 公式ページ:バイオグラフィ

アルバムの中でとにかく素晴らしいのは、疾走感のある軽快なポップ・ソングである「You&I(Forever)」「Champagne Kisses」で、双方とも米R&B界の新星・ミゲルとのコラボ曲でもある。「You&I」についてジェシーはこんな風に語っている。

"なかなかプロポーズをしてくれない彼氏への不満を歌っているの。お互いに結婚するまで長かった。永遠に感じるぐらい長いこと付き合っているの。まるでオートバイに乗っているかのような曲にしたかっ た。高速で切なる思いいっぱいで走っている感じでね。" 公式ページ:バイオグラフィ

 『Champagne Kisses』は、個人的には1stからの飛躍を一番感じさせる佳曲でコーラスに入るときの昂揚感がタマらない。ジェシーロールモデルであるシャーデーの2000年リリースの名作『Lover's Rockの影響を強く想起させる曲でもある。遊び心も満点でコーラス・パートには実際のキスの音を散りばめている。(よく聴いてみるとしっかり聴きとることができます!)


Jessie Ware - Champagne Kisses ( Tough Love ...

明確なポップネスの追求

アルバムのディレクションを指揮したベニー・ブランコは過去に共に仕事をしたエド・シーランジェシーのコラボレーションを強く希望していたそう。この意図にも本作でジェシーを単なる「R&B/ソウル」の枠に留めておかないという思いを感じても良いかもしれない。しかし今や超売れっ子のエドの忙しいスケジュールの中でコラボを実現することは難しかった。しかしそんなある夜、偶然が訪れる。

"偶然エドもサタデー・ナイト・ライブの収録のためにニューヨークに来ていて、一緒に曲を作ることができたの。彼が会いに来てくれて、 二人でホールフーズ・マーケットでサラダを買って、それからベニーのマンションへ行ってギターで一緒に曲を書いたわ。30分ぐらいで書き上げちゃった。 「Say You Love Me」という曲で、絶対にアルバムに収録すると決めていた。 "公式ページ:バイオグラフィ

この「Say You Love Me」は、落ち着いたテンポと艶やかなアコースティック・ギターストローク、そして何よりも力強いコーラスを備えたバラッドで、同じ方向性を持つ前作の「Wildest Moment」よりももう一歩深化を見せたと言って良いだろう。BANKSもカバーしていたLauryn Hillの「Ex Factor」をキッチュにしたような「Keep On Lying」は、過去の音楽の影響を感じさせながらもビートとシンセのサウンドは間違いなく「2010年以降」を感じさせてくれる曲。また「Want Your Feeling」のディスコ・テイストもアメリカ・ツアー中から始めていた試みの一つの成果と見て良い。

「ブリット・ポップ」を更新する存在になるか

Tough Love (Deluxe)

アルバム『Tough Love』はデビュー作『Devotion』と比べると良い意味で「R&B/ソウル」を下地にしながらも、ストレートにポップさを獲得したと同時にジェシー自身のキャラクター(クラスのマドンナではないけど、皆に人気があるチャキチャキした姉御肌的な?)がより前に出てきた親密度の高いアルバムになった。またアルバム内の各曲は大半が3分半以内に収まっていて、非常にコンパクトなのも良い。R&B/ソウルというルーツに忠実ながらポップさを増幅し、それでいながら単なるアダルト・コンテポラリー的な退屈なスムースさに陥らないという難しい所業をジェシーと制作スタッフは成し遂げたと言える。

そして、この作品はチャートにどっしりと居座る準備が出来たアルバムでもあると感じる。 このアルバムが持つポップとしての力強さはもしかしたら既に古の言葉となった「ブリット・ポップ」という歯車をもう一度回し始めてしまう可能性すら秘めている。そんな大げさな物言いをしたくなる作品だ。

 

振り返ってみて・・・

今回は3回にわたってジェシー・ウエアのデビューから新作までを振り返ってみた。紙媒体に比べて、WEBメディアがバイラルとの親和性が高いコンテンツやスナップショット的なコンテンツ作りに寄りがちな部分があると感じていたので、しっかり時系列で一人のアーティストをヘビーになり過ぎずに紹介するという試みにチャレンジしてみました。ブログで出来ることには限界もあるものの、こういう形にはもう少し色々挑戦したいなと思ってます。

 

 

【Feature】改めて振り返る。今、最もオーセンティックな女性R&Bシンガー、ジェシー・ウエアとは?② _ 「Devotion」編

時流と伝統が巧く融合した"伝統的な"R&B/ソウル・アルバム

ダブステップ以降」を前提としたR&B/ソウル

Devotion

さてさて先週より開始したジェシー・ウエアを振り返りつつ、セカンド・アルバム『Tough Love』までの軌跡を紹介する3回シリーズ(予定)の2回目ということで、今回は2012年にリリースされたデビュー作『Devotion』について振り返ってみる。

時は2012年。2010年のJames Blakeのデビューをきっかけに明確にダブステップ以後」の模索が各所で試みられる中、イギリスでは女性シンガーの台頭が目立っていた頃だった。例えばCharilXCXAluna George辺りの名前を頻繁に見出したのもこの頃。

その特徴は、ダブステップ──あるいはより大雑把に“UKベース”と呼ばれるエレクトロニック・ミュージック全般──のエッセンスを当たり前に吸収したサウンドを持っていたことだ。

ジェシーの場合もそれは例外ではない。というよりは、彼女を支えた制作メンバー陣 ──イギリスのエクスペリメンタル・ロック・トリオ、The Invisibleの中心人物であるデイヴ・オクムと、ブリストルのテックハウス系DJ/プロデューサーでもあるフリオ・バシュモアが主導した──がそうしたサウンドのトレンドを各自なりに消化していたという方が妥当だろう。

とても英国的なブルー・アイド・ソウルとして

ジェシーも図らずとも ──自身もその影響を公言しているアニー・レノックスユーリズミックスがかつてそうだったように──アメリカの伝統的なソウル/R&Bをヨーロッパのエレクトロニック・サウンドのトレンドで加工することで独自のソウル・ミュージックを生み出した、と言っても良いだろう。

これは正にアメリカに憧れを抱きながら、オリジナルなものを作り上げてきたイギリスの過去のポピュラー音楽の「伝統」そのものでもある。そしてそれは激しい嫉妬や単なる懐古的ノスタルジアに足を取られながらもなんとか各時代ごとにリアルタイムなポップ感覚を持ってして再構築し、作り上げてきた歴史でもある。そうした文脈において『Devotion』は、実にオーセンティックな英国的ブルーアイド・ソウルだとも言える。

真っ直ぐなシャーデーアニー・レノックスへのオマージュ

ジェシーは自らへの影響を隠さない。それどころか積極的に参照し、自らの表現の中でそのポップネスやスター性を演じることをとっても楽しんでいる。それが清々しくキュートなところでもある。「音楽=自身のありのままの表現」であることが強迫観念的な意味合いを帯びていた90年代〜00年代前半とは随分と遠くへ来たのだなと改めて思うところだ。

私はシャーデーを崇拝してるから、彼女と比較されるのは本当に光栄!影響は意識的なものよ。このアルバムを録音してる間も、私はたくさん彼女の音楽を聴いていたし。「Running」のヴィデオは完全に「Smooth Operator」へのオマージュ。だから有難いと思うわ。彼女は英国の音楽やソウル・ミュージックを見事に象徴する素晴らしいアーティストだと思うの。本当に光栄よ。だから、そう、私にとっては賛辞なの。(July 2012, Interview from HelloGiggles.com

シャーデーアニー・レノックス、それが私の青春時代のポップ・スター!確かに彼女たちは美しくてグラマラスだったけど、彼女たちはその歌声で支持された。歌姫としてこの上ない最高の存在だったわ。今度は私がスポットライトを浴びる番になった。私もああいうポップ・スターになりたいのよ(笑)(20 November 2012, Interview from Agenda Magazine Blog

とてもイギリスらしく、同時にユニバーサルにポップ

アルバムはまず2曲目でいきなりハイライトを設けている。彼女をワールドワイドで話題に持ち上げたロック風バラッドであり、シングルカットもされている「Wildest Moment」。そして、「Wildest Moment」に続く「Running」は90年代初期のUKソウルの雄、ソウル・II・ソウル「Keep On Movin'」直系のナンバー。


アルバムの冒頭、中頃と良曲を上手く配置しつつモータウン・ライクなシャッフルを聴かせてくれる8曲目「Sweet Talk」(ちなみにPVが最高!!ジェシーとフリオ・バシュモアのチビっ子版が登場し、2人がレコーディングやホーム・コンサートをするというホッコリ系クリップだ。是非チェックしてほしい!!!)からのラスト4曲の素晴らしい流れで全体を見事に締めている完成度の高いアルバムで、全編を通じてとてもポップでもある。

アメリカ攻略はセカンド・アルバムで・・・

多分にイギリスらしさを内包しながら、同時に最新のダンス/エレクトロニック・ミュージックを咀嚼した素晴らしいデビュー作となった『Devotion』。イギリスではいきなり初登場チャート5位、ポーランドでは1位を獲得するなどヨーロッパでは順調にその存在感を広めた。

問題はアメリカだ。かねがねアメリカのアーティストたちと組むのが夢だと語っているジェシー。アメリカ進出に伴い、ザ・ルーツやエイサップ・ロッキーとの共演も果たした。他にもカニエ・ウェストやフランク・オーシャンらとのコラボへの意欲も口にしていたが、R&B/ソウルの本場=アメリカを攻略するのはなかなか一筋縄ではいかないようだ。王道のR&Bにはリアーナのような大本命が鎮座しているため、ディスコ調のトラックをリリースしたりと色々アプローチを試みたが、まだまだアメリカ制覇は遠い。

しかし、ジェシーはアメリカを意識しすぎて自分を見失うことなく、ほぼ丸2年続いたツアーの後、地に足のついたセカンド・アルバムを準備することに成功する。思わず応援したくなる着実な進歩を見せてくれているセカンド・アルバム『Tough Love』については次回のエントリでしっかりと紹介しよう。まずは『Devotion』から堪能して欲しい。

 

 

【Feature】改めて振り返る。今、最もオーセンティックな女性R&Bシンガー、ジェシー・ウエアとは?① _ 「デビューまで」編

ポストR&B時代における最もオーセンティックなシンガー、ジェシー・ウエア

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R&B」。この数年とにかくこのタームと共に多くのアーティストが紹介されてきた。だがふっとこんなことを思う人はいないだろうか?

「今、普通にオーセンティックでポジティブなヴァイヴを持ったいい感じのR&Bアクトって誰なのよ?」

 そもそもこんな疑問を持っている人がいるかは不明だが、勝手に答えることにしよう。
それはJessie Ware(ジェシー・ウエア)である。

イギリスにおいてジェイムス・ブレイクという一番星の衝撃を期に次々とシンガーが現われ始めていた2012年、アルバム『Devotion』でデビュー。その年のマーキュリー賞にもノミネートされ(受賞はAlt-Jだったが)、高い評価を得た。実際聴いて頂ければ分かるがとても素晴らしいR&B/ソウル・アルバムだ。

Devotion

Devotion

 

 
そんな彼女がデビュー作の成功、長きに渡るツアー、そして結婚という大きな人生の変節点を経て、もうすぐセカンド・アルバム『Tough Love』をリリースする。

Tough Love [Analog]

Tough Love [Analog]

 

 デビュー作は日本では余り話題にはならず、既に周回遅れの感も否めないが、決して遅すぎるということもない。そんな風に思って改めてジェシー・ウエアについて紹介するエントリを書くことにした。

多くの情報はデビュー時に僕自身が行ったジェシー・ウエア本人へのインタビューを元にしている。

デビュー前夜

イギリスのサウス・ロンドン出身のアラサー姐さん(10月15日で30歳)

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さて、ではまずは彼女の簡単なバイオグラフィーからおさらいしよう。
ジェシー・ウエアはイギリスのサウス・ロンドンのクラップハムという街の出身で現在はブリクストンに暮らしている。母親が持っていたフランク・シナトラエラ・フィッツジェラルドのテープに魅了されて歌を歌い始めたとか。

10代になるとこの世代らしくローリン・ヒルとかデステニーズ・チャイルドにハマり、それからフランク・シナトラビリー・ホリデイエラ・フィッツジェラルドのようなジャズ・シンガーに夢中に。クラブ通いも始め、ガラージとかドラムンベースで踊りまくったそう。

大学に通い始めてからは友達からいわゆる「インディー」ミュージックを仕込まれたらしく、ジェフ・バックリーからポーティスヘッド、レジーナ・スペクターまでリスナーとして音楽的な幅を広げた時期だったみたい。またこの頃はジャーナリストを目指して勉強していたらしく、音楽の道は諦めていたそうだ。

シャーデーそっくりなデビューの経緯

転機は同じ学校に通うジャック・ペニャーテのツアーへの参加

そんな彼女に転機が訪れる。同じ学校に通い友人でもあったミュージシャンのジャック・ペニャーテバックシンガーとしてツアーへ参加しないかと誘われたのだ。彼女はこの誘いを受け、シンガーとしても改めて自信を取り戻す。既に仕事を始めていたそうだが、それも辞めての参加だった。この時彼女は音楽の道で生きていくことを決意した。

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(バックシンガーとして参加した)友達のジャック・ペニャーテのツアーをブッキングした時ね。仕事を辞めなければいけなかったから。私が23歳の時だったわ。

ジャックのギタリストの紹介でSBTRKTとコラボレーション、そしてデビューへ

このツアーへの参加は結果的に彼女のアーティストへの道となった。ジャックのツアー・バンドのギタリストがジェシーを当時ポスト・ダブステップの流れで台頭してきていたトラック・メイカー=SBTRKT(サブトラクト)に引き合わせたのだ。

この時に制作されたのが「Nervous」。この曲の反響もあり、ジェシーは最終的にレコード会社PMRとの契約に漕ぎ着ける。同じくバック・ヴォーカリストとして誘われたのをきっかけに、アパレル・デザイナーの卵からあれよあれよという間に歌姫になってしまったシャーデー・アデュジェシーがもっとも敬愛し、崇拝するシンガー)とよく似ている。まぁこんな偶然もあるもんだ。

直球なソウル/R&Bマナーで貫かれた瑞々しいデビュー作『Devotion』

Devotion

その後もSampha(サンファ)ジョーカーなどUKビートミュージック/シンガーソングライター新世代を代表する面々とのコラボレーションなども経ながら、ジェシーがソウルメイトと称するプロデューサー、デイヴ・オクムフリオ・バシュモア、キッド・ハープーンといった面々のサポートを得ながらアルバムの制作を開始。

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ジェシー・ウエアとフリオ・バシュモア)

彼女が愛してやまないシャーデーホイットニー・ヒューストンをはじめとした80年代のソウルの空気を目一杯吸い込みながら、思春期に魅了されたアメリカのR&B、リアルタイムで経験したUKガラージダブステップなどのクラブカルチャーの影響を消化しながらデビュー作『Devotion』を見事作り上げる。

アルバム『Devotion』の紹介は次回に

本エントリではまずジェシー・ウエアの簡単なバイオグラフィ、そしてデビューまでの簡単な経緯を紹介させて貰いました。次回は『Devotion』について少し丁寧に紹介し、その後はセカンド・アルバム『Tough Love』までの軌跡も振り返れればと。

 

 
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